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Ross Macdonald の The Instant Enemy (Vintage Crime 2008)を読み終わる。キーワードは過去、父と子、母と子、金と名声などであろう。それらが上手に組み合わされて不思議な雰囲気をかもちだす。Ross Macdonald の本を広げると、すぐにカリフォルニアの風土が目の前に広がる気がする。カリフォルニアの自然や人々が目に浮かんでくる。私自身は、情景の描写が素敵な箇所は、その箇所を暗記するくらい味わいたいと思う。

主人公の Lew Archer は離婚歴がある中年男だ。この設定はこの小説を読むだろう多くの中年男の心をくすぐる。彼のように自由で、それでいて冒険に満ちて、ときには女性からの誘惑もあるような人生には憧れてしまう。

そして、著者は豊富な心理学の知識を駆使しながら、人間内部の分析に踏み込んでゆく。人間存在の闇を暴いていく手法は見事である。そして、謎解きが見事だ。どんでん返しがあって、最後には驚きが用意されている。

ただ、連続してこのたぐいの本を読むと飽きてしまう。様々なタイプの本を読みながら、ときどく戻るといいだろう。その方がこの本の読み方として正解だろう。

なお、私は Poe なども好きな作家だが、彼は存在の闇を暴くところがある。Ross Mcdonald は人間存在の闇を暴くとしたら、Poe は存在それ自体に固有な闇を暴くので、より普遍性があり、人気は切れることはないだろう。なお、Bradbury はPoe のその分野をより軽快により幻想的に味付けをしたのである。それらも優れた作品群であり、面白いのだ。

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